第70回カンヌ国際映画祭が現地時間17日から28日まで、併設の国際見本市(マルシェ・デュ・フィルム)が同17日から26日まで、それぞれフランス南部の都市カンヌで開催される。台湾からは今年、新鋭監督が手掛けた2作品がノミネートされている。一つは王逸鈴監督の短編映画『迎向辺疆公路(Towards The Sun)』。新しい才能を発掘するためのシネフォンダシヨン部門(学生部門)にノミネートされている。もう一つは廖克発監督の長編映画企画『波羅蜜的愛(A Love of Boluomi)』で、カンヌ国際映画祭の国際共同製作ワークショップ「ラ・ファブリック・デ・シネマ・デュ・モンド」の参加作品に選ばれている。
『迎向辺疆公路』は国立台湾芸術大学(台湾北部・新北市板橋区)電影系(映画学科)に在籍する王逸鈴さんの作品。俳優の高盟傑さん演じる「加明」は、自宅が競売にかけられてしまったため、やむなくトラックで生活していたが、ある日、ベトナム行きの航空券しか持たない、無一文のベトナム人女性「阿英」と出会う。ひょんなことから共に旅をすることになった性別も国籍も違う二人の姿を、台湾の田舎と、東海岸を走る道路沿いに広がる美しい景色を舞台に描いた作品。プロデューサーは路上でビラを撒いて、東南アジア籍の主人公「阿英」を演じる役者を募集したという。最終的にタイ国籍の姉妹の妹である、林潘妮さんがオーディションに合格。姉の林潘婷さんも専属通訳になったという。カンヌ国際映画祭のシネフォンダシヨン部門で台湾の作品がノミネートされたのは18年ぶりのことで、その意義は非常に大きい。『迎向辺疆公路』は、同じくノミネートされたほかの15作品と共にグランプリを争う。
『波羅蜜的愛』はマレーシア出身の華人、廖克発監督が手掛けた初の長編映画企画。この企画はすでに台湾の財団法人国家電影中心(Taiwan Film Institute)が主催する「優良電影劇本奨(Excellent Screenplay Award)」を受賞しているほか、2015年には台湾と仏ナント三大陸映画祭による共同制作ワークショップ「国際提案一対一ワークショップ」の第1回参加作品にも選ばれている。また、2016年には映画界への資金誘致と人材発掘のプラットフォーム「金馬創投会議(Taipei Golden Horse Film Project Promotion)」でフランスの映画振興組織CNC(国立映画センター)が提供する賞を受賞している。廖克発監督はこの作品について「まるで逆流する川のように、台湾にいる自分を、マレーシアの幼年時代や泥の中へと押し流してくれた」と説明。また、「10年前、台湾に来たばかりの頃は貧しい学生だったが、一歩ずつ前進し、今年ようやくカンヌ国際映画祭に作品を出せるようになった。非常に感動している」とコメントしている。
カンヌ国際映画祭と併設されるマルシェ・デュ・フィルムでは、台湾映画の海外展開を支援するため、国家電影中心が文化部(日本の文部科学省に類似)の委託を受けて、会場となるPALAIS 01に台湾ブースを設置する。国家電影中心がこのために制作したパンフレットには、台湾映画108作品の資料が掲載されている。内訳は長編映画34作品、ドキュメンタリー20作品、短編映画22作品、アニメーション3作品、名作映画の復刻版12作品、企画プロジェクト17作品。台湾の出展企業17社の詳細情報も掲載されている。パンフレットは台湾ブースにて配布する。